RFIDの基礎知識とアンテナコイルの重要性

RFID(Radio Frequency Identification)という言葉を聞いたことがありますか? 実は身近な技術で、交通系ICカードで改札を通ったり、電子マネーで買い物をしたりするときなど、毎日のように利用しているかもしれません。最近では図書館の貸し出し管理や物流システムにも活用されています。そんなRFIDですが、実はアンテナコイルが大きな役割を担っています。
今回は、RFIDの基本から、性能を左右するアンテナコイルの設計ポイントまで、分かりやすく解説していきます。
1.RFIDとは? 基本構成と仕組み
RFID(Radio Frequency Identification)は、無線通信を利用して物体の識別や追跡を行う技術です。バーコードやQRコードとは異なり、RFIDは非接触かつ視認不要で情報を読み取ることが可能です。
RFIDの基本構成
- タグ(Tag): 情報を格納するICチップとアンテナで構成される
- リーダー/ライター(Reader/Writer): 電波を発信し、タグから情報を受信
- バックエンドシステム: 読み取ったデータを処理し、管理システムに統合
2.RFIDの種類と用途
RFIDは使用周波数と通信方式により分類されます。
2.1 使用周波数による分類と用途例
低周波(LF: 125-134 kHz)
- 特徴: 短距離通信(30cm以下)、通信速度は遅いが金属や液体の影響を受けにくい。
- 用途: ペット用マイクロチップ、車両のイモビライザー、アクセスコントロール。
高周波(HF: 13.56 MHz)
- 特徴: 中距離通信(1m以下)、標準規格(NFC)が整備されている。
- 用途: 電子マネー(交通系ICカード)、図書館管理、医療分野。
超高周波(UHF: 860-960 MHz)
- 特徴: 長距離通信(数m以上)、高速通信が可能だが金属や水に弱い。
- 用途: 物流・在庫管理、アパレルタグ、ETC。
2.2 通信方式による分類
- パッシブ方式: タグに電源がなく、リーダーからの電磁波で駆動。簡素で安価。
- アクティブ方式: タグに内蔵バッテリーがあり、自ら電波を発信。長距離通信向き。
- セミアクティブ方式: バッテリーを補助的に使用し、基本はリーダー駆動。
3.RFIDの性能を左右するアンテナコイルの役割
RFIDタグやリーダーの性能は、アンテナコイルの設計に大きく依存します。
3.1 アンテナコイルの基本役割
- 電磁波の送受信: リーダーの電波を受信し、タグのICチップに電力供給。
- エネルギー変換: 電磁波を電気信号に変換、またはその逆。
- 通信距離の最適化: アンテナの形状や材質が通信距離に影響。
3.2 使用周波数帯ごとのアンテナ設計
低周波(LF)アンテナ
- コイルアンテナを採用。
- 多巻きコイルでインダクタンスを高め磁界強度を確保。
- 用途: 短距離通信向け。
高周波(HF)アンテナ
- 環状または平面コイル(PCB)を採用。
- 用途: 電子マネーやカード型タグ。
超高周波(UHF)アンテナ
- ダイポールアンテナやループアンテナを採用。
- 用途: 物流やアパレルタグ。
3.3 アンテナ設計時の考慮要素
- 共振周波数: タグとリーダーの最適な共振を確保。
- 形状と材質: 環境(金属や水の影響)を考慮。
- インピーダンスマッチング: タグICとアンテナ間の整合性を高め、通信効率を向上。
まとめ
RFIDは、使用周波数や通信方式によって異なる用途や特性を持つ技術です。特にアンテナコイルは、RFIDの性能を左右する重要な要素です。用途に応じた適切な設計が求められ、形状や共振周波数、インピーダンスマッチングがその性能を左右します。
プロネックでは、RFID用途に最適なアンテナコイルの製造を行っています。RFIDに最適なコイルに関するご相談は、ぜひお問い合わせフォームよりご連絡ください。