寸法精度が品質を左右する?空芯コイル寸法測定のポイント

寸法測定器

「図面通りのコイルができない」「電気特性は出ているのに、組み込みで不具合が…」

そんなお困りごと、実は“寸法測定”の精度がカギを握っているかもしれません。

プロネックでは、お客様からご依頼いただく空芯コイルに対して、正確な測定と細やかな調整を徹底しています。今回は、私たちがどのようにコイルの寸法を測定し、品質を確保しているのかをご紹介します。

測定する主な寸法ポイント

空芯コイルの測定では、次のような箇所を確認します。

  • 抵抗値(DCR)
  • 内径(幅/長さ/R)
  • 外径(幅/長さ/R)
  • 厚み・高さ
  • 引出線の長さ(巻き始め/巻き終わり)

これらに加えて、お客様の図面に応じて、以下のような細部の測定も行います。

  • インダクタンス(LCR)
  • 巻き始めと巻き終わり線の間隔(厚み方向)
  • 多角形コイルの辺の間隔
  • 仮想中心線からの距離指定 など

寸法測定で注意すべきポイント

● クロスポイントのふくらみ

空芯コイルは、1層目→2層目→3層目…と巻きを重ねる構造上、層が変わるタイミングで銅線が交差し、若干のふくらみが発生します。これは「クロスポイント」と呼ばれ、外径に直接影響します。

空芯コイルのクロスポイントのイメージ画像

※赤枠内がクロスポイント

巻き方や形状によって膨らみ方も異なるため、事前に発生を予測し、外径の公差を広めに設計されるお客様もいらっしゃいます。

● 内径R・外径Rの測定の難しさ

プロネックでは、画像寸法測定器(KEYENCE製)を使用し、高精度な測定を行っています。

ただし、空芯コイルの表面は金属の加工品と違い「完全な平面」ではありません。銅線の巻き重ねにより微細な段差ができるため、測定器の仮想線がずれる可能性があります。

特に内径Rは、銅線にストレスがかかりやすく、設計値が小さすぎるとクラックや断線の原因になるため、非常に注意が必要な部分です。

巻線ズレの影響と測定イメージ

■巻線時のコイル断面のイメージ図  (濃橙、薄橙は銅線の太さの違いをランダムで再現)

巻線時のコイル断面のイメージ図

       

図のように巻芯(青線)に対して、コイルの最外層(赤線)が平行でない場合、コイルを測定器のステージに乗せると、最も広い箇所が自動的に外径として検出される仕様になっているため、外径幅が一番広い箇所が測定されます。(同数巻き(27t)のコイルを想定)

コイルを測定器のステージに乗せたイメージ

図面寸法への対応と調整力

お客様からの図面に忠実な製品をお届けするために、プロネックでは下記のような工程を行っています。

  • 測定データに基づいた巻線条件の細かな調整
  • 寸法が厳しい場合の試作対応と複数仕様の提案
  • 設計者様との密なコミュニケーションによる最適化

測定機器と人の目の両方を活かし、「図面通り」に納まるよう徹底的に仕上げるのが私たちのこだわりです。

まとめ

空芯コイルの製造は、ただ巻けばいいというものではありません。電気特性はもちろん、機構部品との組み込みにおいて、寸法精度は非常に重要です。

測定の難しさを知り、対策を講じているからこそ、プロネックでは図面に忠実なコイル製造が可能です。

「この寸法でうまく収まるか不安…」というお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。試作を含めた柔軟な対応で、お客様に最適なコイルをご提案いたします。

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